Debian プロジェクトニュース - 2013 年 3 月 18 日
今年 6 号目の DPN、Debian コミュニティの会報、にようこそ。この号で取り上げられている話題は:
- Debian Edu Squeeze のアップデート
- DPL 選挙運動
- フリーズの内幕についての一考察
- Kali Linux: ペネトレーションテストのための新しい Debian 派生のディストリビューション
- その他のニュース
- 今後のイベント
- Debian の新しい協力者たち
- 次期リリースに関するリリースクリティカルバグの統計
- 重要な Debian セキュリティ勧告
- 新規の注目パッケージ
- 作業が必要なパッケージ
- これからも DPN を読みたいですか?
Debian Edu Squeeze のアップデート
Holger Levsen さんは Debian Edu Squeeze
のリリース以来はじめてとなるアップデートのアナウンスをしました。このアップデートには Debian
6.0.4 から 6.0.7 までの全ての変更と、Debian Edu 特有のバグ修正と改善が含まれています。
と、Holger
さんは説明しました。アップデート済みのインストーライメージがダウンロード可能になっています。
DPL 選挙運動
今年の DPL 選挙運動が今や公式に始まりました。今年の DPL に立候補したのは以下の 3 人です: Moray Allan さん、Gergely Nagy さん、Lucas Nussbaum さん。すでに debian-vote
メーリングリストでは非常に活発な討論が交わされており、メーリングリストでは立候補者の活動方針について本人に質問できます。今までに議論された主な議題は以下のようなものです: 新しい貢献者の募集と指導に関する質問; Debian の資金の利用と
Debian の中核ハードウェアインフラを更新するための寄付の呼びかけ活動の可能性; DPL 理事会の設立や在任期間の変更等、DPL
の役割についてどういった変更を見込んでいるのか。
選挙活動期間は 3 月 30 日に終了し、その後 2
週間の投票期間が設けられる予定です。始まって間もない時期からずっと 2013 年の DPL
選挙は熾烈なものとなっています; ただの投票者として、私は必死になって debian-vote
のバックログを追いかけています。さらに、暇な時間に DPL
として活動しようとしている志願者同士が民主的に戦う様子を見るのは実に清々しいことです。フリーソフトウェア活動における自主性は良好な状態にあるように見えます
と最近の
3 年間 DPL を務めてきた Stefano Zacchiroli さんは述べました。
フリーズの内幕についての一考察
Lisandro Damián Nicanor Pérez Meyer さんは Debian 開発者としての Debian
フリーズ期間の経験についてブログ記事を書きました。フリーズ期間中、Qt/KDE チームのメンバーである Lisandro
さんは普段にも増して活発に活動し、パッチの検査、パッチの適用、修正内容の検証を行いました。他のチームメンバーの支援を受け Lisandro
さんは新リリース用の Qt を準備するために 11 回ものアップロードを行いました。Lisandro さんによれば、フリーズ期間中にはすべての
Debian 開発者がリリース作業に心血を注いでいるため、チーム内外のコミュニケーションは極めて重要であり、コミュニケーションをとるには多大な調整が必要である、とのことです。また、フリーズ期間中に最も多くストレスを受けるのはリリースチームであるとも述べています。Lisandro
さんはリリースチームの外からみると、リリースチームとコミュニケーションをとることはある種の "特殊な能力"
であり、簡単なものではありません
と述べ、リリースチームと効果的にやりとりするのに有用なヒントを紹介しました。
Kali Linux: ペネトレーションテストのための新しい Debian 派生のディストリビューション
Raphaël Hertzog さんは、Offensive Security 社が Debian
を元に新たに開発した、先進的で安定したペネトレーションテストのためのディストリビューション Kali Linux 1.0 が誕生したことについてブログに投稿しました。
Kali
の開発者リーダーである Mati Aharoni さんは Debian
は新たなディストリビューション開発にあたって、信頼に足るベースとなるものを提供しているのみならず、カスタマイズが容易で不安定版や
experimental 版のおかげで最先端の機能を簡単に盛り込むことができます。
と説明しました。Debian
の派生ディストリビューションを作るための技術基盤のセットアップすることで Kali チームを手伝った Raphaël
さんはほとんどの Kali アプリケーションが Debian に組み込まれるだけでなく、Offensive Security
社が自社の armhf クラスタのノードを 1 つ Debian で自由に利用してもよいと考えているとつけ加えました。
その他のニュース
Lucas Nussbaum さんが、snapshot.debian.org のデータを用いて、2005 年以降の Debian のパッケージングと構造の変化についていくつかの統計資料を出しました。Debian のソフトウェアの大部分は、現在では VCS リポジトリ (ほとんどが Git) にてチームでメンテナンスされ、dh を使ってパッケージングされています。
Luca Falavigna さん (FTP Team のメンバー) は、Debian のコアチームの一員としての経験をブログに書きました。
Ultimate Debian Database (UDD) によると、3 月の RC バグ修正者トップ 10 は以下の方々です。
- Michael Gilbert さん
- LaMont Jones さん
- Julien Cristau さん
- Ludovico Cavedon さん
- Raphaël Hertzog さん
- Gregor Herrmann さん
- Sebastian Ramacher さん
- Abou Al Montacir さん
- Arno Töll さん
- Sébastien Villemot さん
おめでとう!
より詳細なデータは、こちらのメールにあります。
今後のイベント
今後、1 つの Debian 関連のイベントが予定されています。
- 3 月 23 日、ドイツ、アウクスブルク、第 12 回 Augsburger Linux-Infotag
Debian 関連のイベントや会議に関するより多くの情報を得るには、Debian ウェブサイトのイベントセクションを参照するか、いろいろな地域におけるイベント用メーリングリスト (ヨーロッパ、オランダ、ラテンアメリカ、北アメリカ) を購読してください。
Debian ブースを運営したり Debian インストールパーティーを開催しませんか? 開催予定の Debian 関連のイベントについて知りませんか? 講演のページにリンクを貼りたい Debian 関連の講演を行いましたか? そのような場合は、Debian イベントチーム宛に電子メールを送信してください。
Debian の新しい協力者たち
前号の Debian プロジェクトニュースより後に、1 名の応募者が Debian 開発者として受理され、2 名が Debian メンテナとして受理されました。Balint Reczey さん、Alexander Chernyakhovsky さん、Alexandre Raymond さんを歓迎しましょう!
次期リリースに関するリリースクリティカルバグの統計
Ultimate Debian Database のバグ検索インタフェースによると、次期リリースの Debian Wheezy
には、現在 115 個のリリースクリティカルバグが存在します。簡単に修正できるか修正作業が始まっているバグを除けば、リリースまでにおよそ 74 個のリリースクリティカルバグの修正が必要です。
統計の詳細と、これらの数値を解釈する方法のヒントを参照できます。
重要な Debian セキュリティ勧告
Debian セキュリティチームは最近、以下のパッケージ (抜粋) にセキュリティ勧告を公開しました: apache2、openafs、php5、zoneminder、perl、sudo、puppet、wireshark、inetutils、typo3-src、firebird2.1、firebird2.5、lighttpd、libvirt。勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。
これらは、先週のセキュリティ勧告の中からより重要なものだけが抜粋されていることに注意してください。Debian セキュリティチームが公開したセキュリティ勧告の最新情報をチェックする必要があるなら、アナウンスを受けとるためにセキュリティメーリングリスト (これとは別に backports セクションのメーリングリストと stable-updates セクションのメーリングリスト) を購読してください。
新規の注目パッケージ
最近、16 のパッケージが不安定版の Debian アーカイブに追加されました。新規パッケージからの抜粋:
- adequate — Debian パッケージのクオリティ検定ツール
- openms — 液体クロマトグラフィと質量分析用のデータ管理および分析ツール
- seascope — ソースコード・ナビゲーション・ツール
作業が必要なパッケージ
現時点で、496 のパッケージがメンテナ不在となり、142 のパッケージがメンテナの引き継ぎを募集中です。完全なリストは支援が必要なパッケージをご覧ください。
これからも DPN を読みたいですか?
この会報の作成を手伝ってはくれませんか? 我々は、Debian コミュニティの活動を眺め、何が起きているのかを報告してくれるボランティアのライターを募集中です。貢献に関するページをご覧になって、手助けの具体的な方法をご確認ください。あなたからのメールを debian-publicity@lists.debian.org でお待ちしています。
このニューズレターを電子メールで受け取りたい方は、debian-newsメーリングリストを購読してください。
バックナンバーもご利用いただけます。
今週号の Debian プロジェクトニュースは Moray Allan さん、Cédric Boutillier さん、Francesca Ciceri さん、Justin B Rye さん が編集しました。
今井 伸広さん、八津尾 雄介さん、石井 一夫さん、綾小路 龍之介さん、やまね ひできさん、Nobuyuki Morita さん が翻訳しました。